こんにちは、エンジニアの君島です。
先日の荒尾さんの記事の最後にて、議事録作成の自動化というキーワードだけ現れていました。今回は、この議事録作成、より具体的に言うと社内電話のSlack通知について、ご紹介したいと思います。
はじめに
ギークフィードは2024 AWS Partner Awardsで Design Partner of the Year – APJ を受賞しました。ありがたいことに2年連続で、昨年とは違うカテゴリーで受賞しました。
今回の受賞については、様々なチャネルからのビジネス音声を蓄えるプラットフォームとしての弊社サービスのYouWireと、各種サービスと連携できるiPaaSを組み合わせて、業務効率化、生成AIの活用を実現したことをご評価いただけたのだと思います。
このデザインの枠組みを利用して、オフィスに掛かってきた電話を要約し、社内に自動通知してみましょう。
課題
電話対応が敬遠される理由のひとつに、電話の内容の聞き取りが挙げられると思います。私も得意ではありません。
これらの内容を聞き逃したら再度確認したり、諦めて謝るなどしながら、用事のあった社員に個別に連絡することになります。時間ももったいないし、余計な気もつかいますね。
こういうものこそ、自動化して効率化しましょう。
解決策
概要
上記の課題を実現する要素として、以下のものがあります。
- 通話録音・文字起こし
- 通話完了をトリガー
- 生成AIで会話内容の加工
- 共有チャネルへの通知
このうち、通話録音・文字起こし、通話完了をトリガーにするWebhook機能もYouWireにて既に搭載されている機能になります。
生成AIでの会話内容の加工、 共有チャネルへの通知、これらの機能の連携についてはiPaaSに担当してもらいます。
iPaaSから生成AIを呼び出せるようにLambdaとAPI Gatewayを組み合わせてAmazon Bedrockを利用できるようにしました。
さて、この構成のポイントと強みになる点を紹介していきます。
会話内容を含むWebhookはYouWireの搭載機能
着信日時、相手の電話番号、会話内容のテキスト情報等を含む通話の属性情報を含んだリクエストを投げることのできるWebhook機能は、YouWireの機能として搭載されています。
この機能があることによって、YouWireが生成AIや様々なシステムとの連携の起点となることができています。
Amazon Bedrockの柔軟性を活かす
上の図の通り、AWS Lambdaにて、Amazon Bedrockの各モデルの問い合わせを行います。ご存知の通り、Amazon Bedrockは複数のモデルを統合的に利用できるサービスです。この柔軟性を活かすように、Lambdaの実装を工夫しています。
プロンプトやモデルを切り替えたい場合は、Lambdaの実装を変えるのではなく、iPaaSの設定を変更をすることで実現できるような実装にしています。
言い換えれば、iPaaSにて、モデル名とプロンプトを設定することで動作するローコードなシステムとなっていますので、この点についてはエンジニアでなくても操作することができるのが強みです。
Amazon Novaのように、Amazon Bedrockに新たなモデルが追加された場合はLambdaの改修とデプロイが必要になります。各モデルごとにリクエストを生成するような関数を追加実装する改修となります。
実際の通知内容
こうした機能をそれぞれ組み合わせて、電話の内容の自動通知を実現しています。
以下は、実際のSlack通知内容の一例です。例えば、以下のような内容を自動で通知してくれます。
- 受電時刻
- 録音した通話の再生ができるためのURL
- 相手の電話番号
- 相手の社名
- 相手の名前
- 社内の宛先
- 用件の要約
- 次にするアクション
これらの項目については、通話の属性情報と、生成AIで問い合わせた情報とが織り交ざっています。相手の社名や担当者名、社内の宛先、要約や次にすべきアクションなどは生成AIに問い合わせた結果を組み合わせて表示しています。
詳細はマスクしてありますが、どのような項目が通知されるのかイメージできるかと思います。
また、人間が介在しなくても十分に情報共有できる内容になっているかと思います。
ただし、会話内容のテキスト化の精度やプロンプトの内容によっては、求める情報が取得できないことがあります。この点は、実際に検証が必要な点でもあります。
まとめ
2024 Geo and Global AWS Partner Awardsで受賞した枠組みを利用した、社内電話の内容をSlackに自動通知するシステムについて紹介しました。
こちらは音声活用の一例です。生成AIのプロンプトを変更することで抽出できる情報も変わりますし、iPaaSを活用することで他のシステムとの連携も実現することが容易になります。
導入までお考えでなくても、AWS Partner Awardで受賞したシステムや構成での検証に興味がある場合でも結構ですので、お気軽にお問い合わせください。
その際は、電話内容の自動通知の記事を見たとご記載いただければ、話が早く進むと思います。
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