こんにちは!エンジニアの君島です。
社内ではAWSパートナーにおけるアライアンスリードの一人でもあります。
今回は、技術的というよりもビジネスよりの内容になります。
弊社は2022年3月にアドバンストティアサービスパートナーとなりました。
先日、AWSセレクトティアパートナー向けのセミナーで登壇で発表したこともありまして、
弊社の取り組みについて、課題と具体的なアクションについてまとめてみました。
AWSパートナーやアドバンスドティアを目指されてる方は、どうぞご覧ください。
前提
株式会社ギークフィードは、2022年現在、従業員数30名前後のいわゆる中小企業となります。
従業員の多くがエンジニアですが、
4つの事業部から成り、必ずしも従業員全員がAWS案件を担当しているわけではありません。
2020年よりセレクトティアのAWSパートナーでした。AWSへの移行や、開発案件を多く実施していました。
サービスパスのティア要件
概要(2022年7月現在)
以下に要件を示します。プレミアティアを除いたティアは年に1回のみ要件を満たしているか監査されます。
昇格については、要件を満たした時点で監査日を待たずに申請することができました。
分類 | 項目 | AWSセレクトティア | AWSアドバンスドティア | AWSプレミアティア |
APN料金 | APN年間料金 | 2,500 USD/年 | 2,500 USD/年 | 2,500 USD/年 |
知識 | 認定取得者 | 4 | 8 | 20 |
AWS基礎認定取得者 | 2 | 4 | 10 | |
AWS技術認定取得者 | 2 | 6 | 25 | |
経験 | 立ち上げ済み収益機会 | 3(合計MRR1,500 USD以上) | 20(合計MRR10,000 USD以上) | 50(合計MRR50,000 USD以上) |
パートナービジネスプラン | ✅ | ✅ | ||
パートナービジネスプラン | ✅ | |||
テクニカルプログラム検証 | 3 | |||
ティア要件を継続的に達成 | >6か月 | |||
お客様の成功 | 公開事例 | 2 | 6 | |
CSAT(顧客満足度)の回答 | 20 | 30 |
APN料金
-
APN年間料金
こちらは、AWS利用料とは別に毎年支払う金額です。
ただし、お支払いしてもConfirmed以上のステージのパートナーであれば、AWS利用料として利用できるクレジットとして、より大きい金額が返ってきます。
知識
-
認定取得者
こちらは、AWS パートナーが受講できる e-Learningの 「Accreditation(ビジネス)」と「Accreditation(テクニカル)」を受講者数です。
それぞれ同じ人が受講しても1人としかカウントされませんので、注意が必要です。
公式ブログの初学者向けの記事にも紹介が有りますので、参照してください。
-
AWS基礎認定取得者
AWS認定のCLF(クラウドプラクティショナー)の取得者数です。
-
AWS技術認定取得者
AWS認定(アソシエイト、プロフェッショナル、専門知識)を所有している個人の数です。
1人で全ての取得を取得していても、プロフェッショナル・専門知識として1人分としてカウントされます。
一方で、上記のCLF取得者と重複したとしても、別々にカウントされます。
経験
-
立ち上げ済み収益機会
パートナーセントラルでは、ローンチ済みオポチュニティ数となっています。
パートナーセントラルで登録したオポチュニティの中で、
ローンチ済みステータスになったものの数とAWSアカウントIDから自動で?算出される年間利用料の合計額が要件となります。
-
パートナービジネスプラン
会社紹介パートと、ゴールとその達成のための具体的なアクションプランを記載するパートがあります。
これらをAWS様にご承認いただく必要があります。
プレミアティアだけの要件は割愛します。
お客様の成功
-
公開事例
パートナーセントラルから登録する公開事例の数です。公開しているURL等が必要となってきます。
-
CSATの回答
顧客満足度回答(CSAT)というアンケートの回答数です。
パートナーセントラルのパートナースコアカードにURLがあるので、そちらをお客様にご案内して回答をお願いしています。
弊社の事例
経緯
セレクトティアで取得できるService Delivery Programを取得した後、会社としても拡大傾向にありました。
案件数が増えると共に、従業員も増えてまいりました。
時間の経過と共にティア要件を満たすところもありましたが、単純にクリアできない項目もありました。
この章では弊社にとっての課題だった点とその解決までの取り組みについて、記載しています。
ローンチ済みオポチュニティ数
課題
もともと体感として社内の案件数はゆうにクリアしていたのに、オポチュニティ数は未達が続いていました。
実は、もともと限られた人しか登録しておらず、
社内の一部の案件しか登録していないという状況であったことが分かりました。
オポチュニティ登録可能な社員を増やす
パートナーセントラルから、アカウント情報 > ACE Pipeline Manager ユーザー管理で遷移する画面にて設定ができます。
詳細な用語の意味や、操作方法についてはこちらの公式ドキュメントを参照してください。
オポチュニティ登録のお願いを定期的に行う
コミュニケーションツールを使って、書き方のマニュアルも添付しながら案内していました。
オポチュニティ登録の仕方の勉強会を開催
登録可能な社員を対象に、実際にどのようにオポチュニティ登録するのかのハンズオンを行いました。
実際にAWSパートナーセントラルに各人がログインしてもらい、画面を見ながら実施しました。
オポチュニティ登録のお願いに加えて他の要件の達成状況の報告を繰り返す
パートナースコアカードを載せながら、どの項目が未達かを分かるように案内していました。
特に効いたと感じたのはオポチュニティ登録の仕方の勉強会でした。
思っていた以上に社内でオポチュニティ登録が浸透していませんでした。
つまりは、マニュアル添付しながらの案内では、全く伝わっていなかったということです。
いざハンズオンしてみると、ローンチした過去の案件をまとめて登録すればいいと思っていた、
何を書いたらよいかが分からないという声が多くありました。
ここで社内の疑問点を解決しただけでなく、
全社的な方針としてアドバンストティアに昇格するという方向性をも浸透させることができたことが大きかったと思います。
それから、こちらの案内を行うようになると、
具体的な案件についてどのように書けばよいのか質問が挙がるようになりました。
社内の啓蒙が進んだことで、オポチュニティ数も増加し、見事要件を達成することができました。
AWS認定資格保有者数
課題
以下のグラフは社内の認定資格数の推移です。
当初セレクトティアの時は、アソシエイトレベル2つだけでしたので、アドバンスドティア昇格のためには未達な状況でした。
結論から申し上げると、ご覧の通り順調に増加しまして要件を満たすことができました。
なお、現在も認定資格保有数は増えているところでして、総数で25以上の資格を保有しています。
社内で認定資格の勉強会の実施
従業員も増えてきたこともあり、AWS案件に対応できる人材を増やすべく、教育に重きを置くようになってきました。
社内での勉強会を就業時間中にも開催して資格取得を啓蒙した結果、
2021年頃から順調に増え始めてきました。しかしながら、要件達成のためには不足が続いていました。
的を絞った勉強会の実施と資格取得の啓蒙
勉強は進めているものの資格取得数の停滞が続いた時期がありました。
実情は、試験にチャレンジしてくれる人もいれば、勉強はしているものの受験まで至っていない人もいました。
周囲に資格取得してくれと言うばかりではダメだということで、
自分でまず受験する取り組みをしたり、短期間でも集中すれば取得できることを示したり、
その中で同時期に受験を予定している人と一緒に勉強をしました。
少人数でインタラクティブに、質問と回答を行う方が参加者のやる気も理解度も高くなると感じました。
結果的に、その勉強会の参加者が認定資格を取得してくれました。
なお、以下の自他含む記事でも書いていますが、
個人レベルでは認定資格はまず受験申込みをすることです。これが一番大事なことだと思います。
エンジニア完全未経験からAWS認定SAA・SAPを3週間で合格するまで
最短でAWS DOP(DevOps Engineer – Professional)に合格する方法
パートナービジネスプラン
課題
アドバンストティアからの要件となっているパートナービジネスプランというものがございました。
パートナースコアカードには以下のような記載がありました。
APNにおける目的をクリアにして進捗管理するために、パートナービジネスプランを作成してください。ビジネスプランはAWS側の担当者によって確認・承認されます。
不勉強で恐縮でしたが、当時はどのようなものかよくわかっておりませんでした。
AWS様に問い合わせる
すぐにAWSのご担当者様にご相談させていただきました。
非常にご丁寧にご説明いただきました上で、一緒にどのようなプランにするかをディスカッションしながら数回のお打ち合わせを実施しました。
弊社としてどのようなゴールを立てて、その達成のためにどのようなアクションを実行すればよいかを考えていきました。
弊社だけでは考えられなかったようなアクションもアドバイスいただけたことが非常にありがたかったです。
エグゼクティブや関係者を巻き込む
プラン策定のポイントは、ギークフィードがどのようなパートナーとなってどのようなゴールイメージを持つか、
会社としての方針を示す必要があるため、エグゼクティブや関係者を巻き込みました。
会社や事業部で考えていることをアウトプットしてもらい、
その実現のために具体的なアクションを考えることができた有意義な時間であったと共に、
エグゼクティブからも承認を受けているプランであり、全社として実行するものであるという
共通認識を社内で持つこともでき、非常に良い取り組みであったと思っています。
結果として、ギークフィードらしさのあるビジネスプランにできたと感じています。
その後、AWS様にご説明してご承認をいただき、こちらの要件も達成しました。
なお、こちらのパートナービジネスプランを振り返ってみると、概ね目標を達成したことに加えて、
追加のアクションとしてAWS Summit Online 2022のテーマスポンサーにも初挑戦いたしました。
これは、全社を巻き込むような動きがあったからこそだと思っています。
まとめ
今回は、弊社がアドバンストティアに昇格するまでの取り組みについて記載しました。
これらの取り組みの結果、アドバンストティアサービスパートナーと認定されております。
当時はいざ自分でアクションしようとした際に、あまり情報が無かったので、困っていたことを思い出して記事にしました。
ティア昇格を目指されている方々の参考になれば幸いです。
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