AWSを利用した業務用空調設備管理システムを構築 エアコン所有者の事務作業軽減に成功

不動産管理や、設備工事・管理支援など、建物や空間に関わる様々なソリューションを提供している株式会社タキズミ様。
業務用空調設備管理システムの「D-Flons」についてお伺いしました。

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企業情報

法人名

株式会社タキズミ

所在地
〒112-0012 東京都文京区大塚3-38-8

設立
平成3年4月

代表者

代表取締役社長 吉森 豊 (よしもり ゆたか)

URL

https://www.takizumi.com/

 

お客様について

株式会社タキズミ様は不動産仲介会社、設計事務所、物件オーナー様、AM・PM企業の皆さま向けのサービス、オフィス設計などの企画提案など、様々なソリューションを提供しています。

 

同社は、平成27年に施行されたフロン排出抑制法改正対応にあたり発生する多大な事務作業の効率化に向けて、AWSを利用した業務用空調設備管理システムを導入しました。システム導入により、機器に貼付されたQRコードを読み取るだけで点検作業の実施、台帳の作成、管理が誰でも簡単にできるようになり、エアコン所有者や整備業者の作業負担軽減を実現しています。

 

 

D-Flons(業務用空調設備管理システム)導入の経緯

フロン排出抑制法対応で発生する多大な事務作業が課題だった

エアコンや冷凍・冷蔵庫の冷媒をはじめ、様々な用途に活用されているフロンですが、人間の身体に悪影響はないとされてきました。しかし、オゾン層の破壊、地球温暖化への影響などが明らかになったため、現在は排出を抑えたり、他の物質へ代替することが推奨されています。そこで平成27年4月1日に施工されたのが、「フロン排出抑制法」でした。

具体的には、エアコンや冷凍・冷蔵機器の所有者に対して、3ヶ月に1回の簡易点検、法定点検、点検結果の記録、官庁への報告などが義務付けられ、これらのことを怠ると同法によって罰則・罰金が科せられることになります。

さらに、令和元年6月5日に交付された「改正フロン排出抑制法」により管理者の義務がさらに強化されました。

そのため、フロン排出抑制法の対応にあたり、エアコン所有者が多くの事務業務業務が追加必要になるという課題がございました。例えば、台帳作成、対象機器のリスト化、点検・設備結果の台帳(ログブック)反映作業等、事務業務に多くの時間を割く必要が発生致します。

お客様である管理会社様からも、「これからどのように対応したらいいんだろう」とお悩みの相談が数多く寄せられ、エアコン所有者が多くの事務作業業務が追加必要になるという課題がございました。

 

導入の結果

D-Flons構築により、多大な事務作業の軽減、業務効率化が実現

当時、フロン排出抑制法改正に伴い追加で多大に発生するエアコン所有者様の事務作業にいち早く気づき、D-Flons(フロン排出抑制法対応クラウドシステム)の導入により、多くのお客様にたてると考え、システム化を決めました。

システム開発に際して最も大切にしたのは、建物内に点在するエアコンなどの膨大な機器を点検する管理会社の方にとって、誰にでも、わかりやすく、使いやすいこと。点検・修理などの履歴が管理しやすいことでした。つまり、日頃からお取引させていただいているお客様の視点に立って、改正フロン法がお困り事にならないようにすることが最優先されました。

そんなコンセプトを表現するため、システムのネーミングには、D(誰でも)- FLONS を採用。

当時の社用携帯はまだガラケーが多かったので、スマホでしか使えないアプリではなく、ガラケーでも使えるQRコードで、検査する機器を識別し、3ヶ月に1度の検査のタイミングが近づく1週間前にはリマインドメールを送付するように設計しました。

急いだ甲斐があって当時、大手電機メーカーなどを差し置いて最も早くシステム化に成功し、特許を取得しました。その使いやすさを評価していただいたインフラメーカーの荏原製作所様をはじめ、多くの企業から引き合いがあり、順調なスタートを切りました。

システム導入により、機器に貼付されたQRコードを読み取るだけで点検作業の実施、台帳の作成、管理が誰でも簡単にしかも正確にできるようになり、エアコン所有者や整備業者の作業負担軽減を実現しています。また設備に使用されている主要部品の製造終了状況を、メールで配信するサービスも行っています。

現在、1万台以上の導入実績を誇り、管理会社の方などから「改正フロン法の事務作業が楽になり、助かっています」と嬉しいご評価をいただいております。

某一部上場企業(製造業)では、全国80拠点以上の支社・支店・事業所の設備を本社(東京)で一括管理してご活用いただいています。

 

D-Flonsは、以下の主な機能により、使いやすさと機能性を両立させ、改正フロン法に関する煩雑な事務作業を大幅に削減しています。

1.QRコードから携帯端末で点検・修理結果を送るだけで管理台帳(ログブック)へ反映されます。(特許出願済 2016-212544号)

携帯電話でQRコードを読み取り点検・修理内容を選択するだけで完了。管理画面より台帳や報告書の出力が可能となり、事務作業の軽減とペーパレス化が図れます。また整備業者の報告書を保存したり、漏えい量の集計を行うことも可能です。またフロン以外の独自点検も追加が可能です。

2.点検漏れ防止リマインダー

メール配信にて定期的に行う点検作業が漏れ無く実施できるように関係者に通知を行います。

3.管理画面にて設備を効率的に管理

グループ権限付きログインアカウントにて、設備の点検状況・漏えい量の確認やデータダウンロード等が行えます。また整備業者からの報告書の添付等も可能です。

 

 

 

 

システムのモダン化により機能追加・運用を容易に。ビジネスの加速を実現

旧D-Flonsの課題

D-Flonsは2015年ごろ、ギークフィードがAWS上に構築したものでしたが、いくつかの課題がありました。
当時のD-Flonsは、古いフレームワーク(XOOPS)を使用しており、開発が最小工数及び最短工数で急ピッチに進められたため、ドキュメントがほぼありませんでした。
そのため、機能の追加や改修が容易ではなく、新しい開発者にとっても不明瞭な部分が多い状況でした。
また、PDFデータや画像データをEC2内に保存していたため、サーバー容量に圧迫が起きており、さらに、点検画面が当時のガラケー向けに作られており、スマートフォンでの表示・操作にも問題がありました。

2023年度、新D-Flonsへの移行を実施

上記の問題に対処すべく、新たなUI/UXデザインを採用し、Webフレームワークの更新、AWSのベストプラクティスを採用した最新のアーキテクチャへの移行を、2023年度に実施しました。
また、アップロードファイルをサーバー上で管理していた従来の方法から、Amazon S3での管理に切り替えたことで、サーバー容量の圧迫を軽減し、ストレージの耐久性・可用性が向上しました。同時に、AWS WAFを導入してSQLインジェクションやDoS攻撃に対するセキュリティ対策を行い、ビジネスコンティニュイティ計画(BCP)の一環としてデータベースとサーバーのバックアップを実施しました。運用と監視においてはCloudWatchを導入し、システムの健全性を確保しました。

新D-Flonsへの移行により、機能追加・運用が容易になっただけでなく、新たな機能の利用も可能となり、お客様から高い満足度をいただいております。

 

【2023年度の改修内容】

  • フレームワークをXOOPSからLaravelに刷新し、モダンな開発基盤の導入を実施

  • MySQLからPostgreSQLへのデータベースの切り替え

  • PDFデータや画像データの管理にはAmazon S3を採用し、サーバー容量の負担軽減、ストレージの耐久性・可用性が向上

  • 画面デザインは全てレスポンシブに変更し、スマートフォンでのUI/UXを向上

  • AWSのベストプラクティスを取り入れた最新のアーキテクチャへの移行を実現し、セキュリティと可用性を向上

 

D-Flonsの今後

さらなる使いやすさを求め、進化するD-Flons

現在、1万台以上の導入実績を誇り、管理会社の方などから「改正フロン法の事務作業が楽になり、助かっています」と嬉しいご評価をいただいているD-Flonsですが、さらなる使いやすさを求めてオプション機能を加えることが検討されています。

現在でも十分に活躍しているシステムですが、使いやすさを追求することで、さらに改良することができます。お客様と社会に、一足先に新しい価値観を提示するという「その先プロジェクト」のコンセプトを具現化するシステムとして、これからも進化を続けていくでしょう。

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